スケートリンクと乱歩


  
 
2011年12月28日 (水曜日)
 
 
スケートリンクと乱歩
 
 

バンクーバーより

楽しいクリスマスを!

From: denman@coolmail.jp
To: sayuri@hotmail.com
Date:Fri, Dec 23, 2011 10:50 am.
日本時間: 12月24日午前3時50分

小百合さん、元気ですか?
クリスマスは、すぐそこですね。
今、Joe Fortes Library でクリスマスのための記事を書いてますよ。
記事といっても、いつものような記事ではなくてグリーティング・カードのようなものです。

今年は去年のカードを基にして、面白い YouTube を埋め込んで愉快なカードにしました。
小百合さんもぜひ見てね。

『あなたも楽しいクリスマスを!』

Joe Fortes Libraryにやって来るには僕のマンションからハイスクールの脇の駐車場を横切ってウエストエンド・コミュニティ・センターの裏口へ回るのが近道なのですよ。

裏口から入ると、すぐにスケートリンクを右手に見ることができます。

「私、結婚する前、バンクーバーへ行った時、あのリンクでスケートしたんですよ」

小百合さんがそう言ったのをスケートリンクのそばを通るたびに思い出すのですよ。
今日は中央図書館からの帰りにスケートリンクを見たら小学生がアイスホッケーの練習をしていました。
どう見ても小学校1年生か2年生ですね。
もしかすると幼稚園の生徒も混ざっていたかも知れない。
とにかく、皆、身長が100センチから120センチぐらいですよ。

ところが大人も顔負けするぐらいにうまいのですよ。
とても小学生がやっているとは思えない。
まるでプロの選手のようです。
驚きましたねぇ~。

僕も以前はアイスホッケーもやりましたが、最近はスケートするのがしんどいですよ。
とてもすべる気になりません。
スケートものんびり滑っているぶんには好いけれど、アイスホッケーなどやろうものなら、もう息切れがして大変です。

小百合さんも子育てが終わったら、バンクーバーにやって来てビキニでスノボしたらどうですか?
きゃははははは。。。

小百合さんは、まだまだ若いですよ。
高齢社会になっている現在、小百合さんも第2の青春を楽しんでくださいね。
僕も、そうしていますよ。 (微笑) ホッケーはやりませんけど。。。(爆笑)

21日の水曜日に町子さんが税金のことでやって来ましたよ。
日本でならば経理部長でお金のことはすべて町子さんがやっているのだけれど、カナダとなると英語なので全くお手上げのようです。
40代でカナダにやって来たから英語を投げ出していて、じっくりと勉強する気もなさそうです。
税務署から届いた書類を電話で僕に説明するのだけれど、
実際に町子さんに会って書類を見てみると、町子さんの説明のうち正確に僕に伝えたのは20%で、あとの80%は町子さんの主観と推測なんですよね。(微笑)
やっぱり、20年カナダにいても英語はやる気がないと身につかないし、
やる気があったとしても40代からの英語の勉強はたかが知れたものです。

珍しく町子さんが自分で焼いたジンジャークッキーを持て来てくれました。
料理は何でもこなして、町子さんは、こまめによく作ります。
ジンジャークッキーで思い出しましたよ。
いつだったかジンジャーブレッドを買ってきて欲しいと小百合さんが言ってましたよね。

「日本でも売ってるでしょう?!」

「いいえ。。。大きなものは売ってないんですよ」

セーフウェー(Safeway)では売ってなくて、時間がなかったからジンジャーブレッドを他の店で探すことができなかった。
それほど珍しいものとは思わないけれど、ジンジャークッキーを食べていたら、ふと思い出しましたよ。
生姜の入った甘いクッキーは、しばらくぶりに食べてみると、なかなか懐かしい味がするものです。

ジンジャークッキーと一緒に兵庫県明石市の大栄堂本舗の「たこせん」をお土産に持ってきました。
蛸とイカが入った「おせんべい」で、子供の頃食べた“日本の味”ですよ!
懐かしい味でした!

では、小百合さんも素晴らしいクリスマスを迎えてね。

Merry M’mas &

Happy New Year!

じゃあね。

デンマンさん…スケートリンクのことなどよく覚えていましたわね?

言われてみれば、確かに忘れてもいいような些細なことだけれど。。。スケートリンクのそばを毎日のように歩いて通らなければ、とっくに忘れていたでしょうね。。。

スケートリンクがそれほどデンマンさんの目にとまるのですか?

時々可愛い女の子がフィギュアの練習をしていたり。。。、小さな子供たちがプロも顔負けにホッケーの練習をしている姿を通りがかりに見かけると。。。ふいに小百合さんが漏らした言葉が思い浮かぶのですよ。

デンマンさんに言われるまで私は忘れていましたわ。。。でも、スケートリンクと江戸川乱歩がどのように関係しているのですか?

あのねぇ、たまたま上のメールを書き終えてからDVDで見た映画が “The Mystery of Rampo” だったのですよ。

また、バンクーバー図書館からDVDを借りたのですか?

そうです。

特に意識して借りたわけではなかった。 当然、バンクーバー図書館にはアメリカとカナダの映画のDVDが多いから、日本映画に出くわすと、つい手にとって説明を読んでしまう。 江戸川乱歩のことでは何度か記事に書いたことがあった。 そんなわけで観始めたわけなのだけれど。。。画面にタイトルが表れた時に、また、ふいに小百合さんがこの映画のことをメールで書いたことがあったのを思い出したのですよ。

日付: Fri, 17 Apr 2009 13:56:44 +0900 (JST)
(バンクーバー時間:4月16日 木曜日 午後9時56分)
差出人: “domini@yahoo.co.jp”
宛先: “デンマンさん” green@infoseek.jp

件名:4 月 17 日

町子さん帰ってしまった?

はい、こんにちは。
町子さん帰ってしまった?
足が悪いのに ダウンタウンまで 来たんだ。
私があの年齢で 元気にバス乗って 飛行機乗って 移動できるかな~。

用事が終って 今 お昼食べました。
うーん ナスのオムレツ?
何味 ケチャップ? バター? 醤油?
デンマンさんの料理 いみふ だから、 こわい。

RAMPO って映画化されて、でも 先に本で読まないとね。
アルファベットで RAMPO ですって。

バンクーバーの図書館も 読みつくしちゃったでしょう?

昔 ジェームスさんがUBC (University of British Columbia:ブリティッシュ・コロンビア州立大学)を案内してくれた時、図書館で 日本の本の棚にいろいろありました。 
その後 食堂で何か食べたような。

飛行機から 外をながめて UBCの広さに 圧倒します。
ダウンタウンは海に囲まれて 東の方がバーナビーだって
しばらく あの景色をみてないなー 明日山小屋で
額に入ったダウンタウンの写真を見よう。

がらくた(何て言うの? サリ**トショップ) 日本でいう リサイクルショップ。
今のように 高層マンションでいっぱいにならない昔の
ダウンタウンの額入り航空写真を $1.50 で買って
子供達が「もう帰ろうよー ママ気が済んだでしょう」と
あの子たちは 3軒隣りの グロサリーで アイスとお菓子を買いたがっていた…
思いつくままに…

さゆりより


『ズロースおばさん』より
(2009年4月25日)

懐かしいですわ。 こんなことを書いていたのですわね。。。それにしてもデンマンさんは、よく覚えていますわね?

なんと言うか?。。。奇遇と言うか?。。。奇縁と言うか?。。。小百合さんがウェストエンド・コミュニティ・センターのスケートリンクでスケートをしたことがある、ということを思い出してメールを書いた後で “The Mystery of Rampo” を観た。。。それで、「ああ。。。そう言えば、この映画のことも小百合さんはメールで書いていたことがある」。。。僕は、なんだか不思議な“縁”を感じたのですよ。

デンマンさんは “The Mystery of Rampo” を初めて観たのですか?

そうなのですよ。。。いつか観たいと思っていた映画をよりによって小百合さんにメールを書いた後で観た。 意識してそうしたわけじゃないのですよ。 偶然だった。 3,4日前に借りていた DVD が、その日、Joe Fortes Library に持っていったバッグの中に入っていた。

北米向けに、すべて英語で紹介されている予告編なのだけれど、良くできていますよ。 小百合さんは日本で観ましたか?

観ましたわ。 でも、イマイチでしたわ。

感銘を受けませんでしたか?

男のファンタジーのような。。。現実とはかけ離れたストーリーで、しかも戦前の日本が舞台でしょう?! なんとなく自分とは、かけ離れた世界の物語で。。。正直言って退屈して見ただけですわ。。。デンマンさんは感銘を受けましたの?

初めの10分間観て、僕の好きなタイプの映画じゃないと思いましたよ。 フランスのブリタニア地方にあるようなシャトー、貴族の大邸宅が出てきて、マルキド伯爵のような人物を想わせる大河原侯爵が出てくる。 映画の中では平幹二郎が演じていましたよ。

『RAMPO』(らんぽ)

1994年(平成6年)5月25日公開の日本映画である。ミステリーおよびファンタジー映画。

「プロデューサーによる作り直し」、「ふたりの監督による2バージョン同時公開」、「劇中のサブリミナル効果」など映画内外の数々のエピソードが話題になった作品である。
「映画生誕100年・江戸川乱歩生誕100周年・松竹創業100周年記念作品」と銘打って公開された。

プロデューサーの奥山和由は監督の黛りんたろうが完成させた作品に納得できず自らメガホンを取って全体の70%を撮り直すなど映画を再構成、自分なりの作品を作り上げた。
それぞれは「黛バージョン」、「奥山バージョン」と呼ばれ同じ日に公開された。
上映時間はそれぞれ93分と98分。

1995年(平成7年)5月27日には「奥山バージョン」に未公開シーンを加えて更に再編集したものに、千住明による音楽(指揮:ヴァーツラフ・ターリヒ、演奏:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団)を追加した上映時間100分の「インターナショナル・ヴァージョン」も公開された。


出典:
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

僕が借りた DVD は101分の「インターナショナル・ヴァージョン」ですよ。 「未公開シーン」というのは、たぶん、ヌード変態シーンだと思うのですよ。 女装した大河原侯爵が亭主を殺した女を妾にし、その女を裸にしてポルノ映画に出てくるような変態シーンを繰り広げる。

こんなのが日本でよく許可されたと思ったほどですよ。 レベルの低いB級映画のような感じでした。 でも、ヒロインの静子を演じた羽田美智子さんは良かったですよ。 いい女優になりましたねぇ~。。。

そう言えば、デンマンさんは羽田さんのことで記事を書いていましたわね。

『悩めるアラフォー』

(2011年9月18日)

。。。で、途中で観るのを止めにしてしまったのですか?

いや。。。絶対に最後まで見ようと思いましたよ。

でも、B級映画のようだったのでしょう?

あのねぇ、観ていると横浜のグランドホテルの、あの階段と、時計、それに2階のロビーが出てきた。 このホテルのことでも僕は何度か記事を書いたことがある。 小百合さんもこのホテルには懐かしいものを感じるでしょう?

私は横浜のグランドホテルよりも軽井沢のグランドロッジに郷愁のようなものを感じますわ。。。で、横浜のグランドホテルが出てきたのでデンマンさんは映画を最後まで観る気になったのですか?

いや。。。それだけではありませんよ。 僕は映画の中の乱歩に僕を重ね。。。、亭主を殺したという「静子」というヒロインに小百合さんを重ねながら観ていたのですよ。。。それで、結末がどうなるのか?。。。まるで、小百合さんと僕の将来を占うような。。。「神からのお告げ」でも聞くつもりになって最後まで観ようという気持ちになったのですよ。

私と映画のヒロインが似ているようには思えませんわ。

あのねぇ~、正直言って “The Mystery of Rampo” のストーリーはバカバカしいのですよ。 江戸川乱歩先生と無関係な映画ならば最初の10分見たところで僕は他のDVDと取り替えましたよ。 でもねぇ、乱歩先生の『お勢登場』、『化人幻戯』、『火星の運河』という作品を基にして映画が作られている。 だから、バカバカしいでは済まされないものを感じたのですよ。 それに、考えてみたら、あまりにも偶然が重なりすぎていた。 小百合さんへメールを書くときに思い出したスケートリンクといい。。。この映画のことといい。。。それに映画の内容ですよ。。。

病弱の夫を「長持ち」に閉じ込めて殺すという、そのストーリーのことですか?

そうですよ。 この話は乱歩先生が『お勢登場(おせいとうじょう)』というタイトルで『大衆文芸』1926年7月号に書いた短編小説なのですよ。 肺病に侵された夫は、子供の将来を案じ、書生と不倫する妻おせいと離縁することが出来なかった。 

ある日、いつものように「おせい」が不倫相手の元へ出かけた後、夫は幼い息子とその友人達と遊んでやる。 彼はかくれんぼを提案し、部屋の押し入れに隠れた。 子供達が押し入れに近付くと、彼は押し入れの中にあった「長持ち」の中へ入る。 子供達が諦めた頃、彼は長持ちから出ようとするが、蓋が開かない。 密閉された長持ちの中で苦しんでいる内に、「おせい」が帰ってくる。 そして、結局、長持ちの中に居る夫を閉じ込めたまま殺してしまう。 この小説は、映画の中では言論統制によって発禁処分を受けて発売できなかったことになっている。

今の時代ならば問題ありませんわね?

いや。。。アメブロ(http://ameblo.jp/)の愚かな管理人は、多分 現在でも、僕が書いているこの記事を投稿したら未公開にすると思いますよ。 (苦笑) 時代錯誤の言葉狩りと写真狩りを恥ずかしげもなくやっているのですからね。 とにかく、映画では『お勢登場』は出版できなかったのだから、その内容を一般の読者は知らない。 それにもかかわらず、まるで本の内容そっくりの殺人事件が現実に起こってしまう。 その殺人事件の犯人が羽田美智子さんが演じる「静子」という女なのですよ。

でも。。。、でも。。。、私の夫は病弱でもありませんし、私は夫を「長持ち」に閉じ込めて殺したりしていませんわ。

もちろんですよ。。。小百合さんが、そのような無情で無慈悲な女だとは、僕は思ってませんよ。 

だけど、デンマンさんは私とあなたを乱歩先生と「静子」に重ねて映画を観たと言ったばかりではありませんか!

そうですよ。。。でもねぇ、さっきも言ったように一連の偶然が単なる偶然ではないように思えた。 だから、なぜか「静子」が気になった。

それで、私を「静子」に重ねて映画を最後まで観たのですか?

その通りですよ。

この映画の結末が私とデンマンさんの将来を暗示していると思ったのですか?

そうです。。。いけませんか? (微笑)

それってぇ、かな~りィ飛躍してません?

あのねぇ~、すでに言ったけれど、この映画は半分程バカバカしいのですよ。 でもねぇ、少なくとも乱歩先生の原作を基にして映画が作られている。 バカバカしいと思うだけで DVD を投げ出したのでは身も蓋もない。 せっかく観始めたのだから時間を無駄にしたくない。 結末も観ずにバカバカしいでは乱歩先生を侮辱していることになる。

要するに、乱歩先生を尊敬しているデンマンさんは、せめて結末を見届けようと思ったのですか?

その通りですよ。

それで、私も夫を「長持ち」に閉じ込めて殺すだろうとデンマンさんは思っているのですか?

滅相もない! そんな。。。そんな恐ろしい事を僕は考えてません!。。。すでに言ったように僕は軽井沢タリアセン夫人が、そのような血も涙もない無慈悲な女だとは思ってませんよ!

。。。で、いったい私とデンマンさんの関係がどうなると推測したのですか?

あのねぇ~、あの映画の「静子」は小百合さんとは全く正反対なのですよ。 意志が弱く、自分というモノを持ってない。 現状をポジティブな方向に持ってゆくという努力をしない根無し草のような女ですよ。

つまり、私は意志が強く、自分というモノをしっかりと持ち、現状をポジティブな方向に変えてゆく、地に足の着いた女だと。。。?

その通りですよ。。。うへへへへへ。。。

デンマンさんはマジで、そう思っているのですか?

もちろんですよ。 社交辞令でも、へつらっているのでもありません。 あのバカバカしい映画を観て、最後に僕が出した結論ですよ。

デンマンさんは私を必要以上に理想化していると思いますわ。

当然でしょうね。

あらっ。。。デンマンさんは、ご自分でも判っているのですか?

あのねぇ~、僕は、おそらく小百合さんの性格や感性や、内心の考え方の多くても30%ぐらいしか知らないでしょう。 小百合さんの旦那も、小百合さんのことを多くても60%ぐらいしか知らないでしょう。

つまり、私の70%はデンマンさんには未知の領域で、私の40%は夫にも未知の領域だと言うのですか?

その通りですよ。 小百合さんは「自分のことは自分以外に知られないようにしている」と言ってましたからね。。。しかも「こんなことは夫には言えない。 言っても仕方がない」ともらしていたこともあった。

それはいけない事でしょうか?

あのねぇ~、一人の人間を100%理解するなんて不可能ですよ。 自分で自分の事を理解していない人も居るのに、他人を100%理解するなんて無理なことですよ。 しかも、親には言えないけれど友達には話せる。 恋人には話せないけれど兄妹には言える。 Aさんには言えないけれど、Bさんにならば話せる。 当然、「夫には言えないけれど、あなたにならば話せる」という事もあるのですよ。 夫婦でも理解し得ない事ってたくさんある。 だから離婚が絶えない。 最近ではバツイチは当たり前になっている。

私もバツイチになるとデンマンさんは考えているのですか?

いや。。。小百合さんは離婚することはないでしょう!

その根拠は。。。?

小百合さん。。。あなたは利巧な女ですよ。 離婚するのは愚か者のすることですよ。 離婚するくらいなら初めから結婚しなければいい。 でも、多くの人はそうしない。 なぜか。。。? 人間はお互いに不完全だからですよ。 離婚する事が判っていたら、当然、誰もが初めから結婚しないでしょう。 でもねぇ、人間は完璧じゃないから、そういうことが判らない。 でも、更に愚かなのは、再婚すればより良い相手に巡り合うだろうと思って再婚する。 それで、また離婚を繰り返す人が居る。 そのような人は結婚に失敗して、更に失敗を求めているようなものですよ。

でも、中には結婚を続けていたら夫のドメスティック・バイオレンスを我慢せねばならず、最悪の場合には死んでしまうかもしれない。 だから、離婚しなければならないという妻だって居ますわ。

それは例外的なケースですよ。 そのような場合には離婚しかないでしょう! ただ、戦争前にも離婚はあった。 でも、現在のように多くはなかった。 なぜか? 戦争前には、結婚に不満があっても、たいていの場合には妻は我慢した。 戦後に結婚した僕の両親を見ても、お袋は我慢していましたよ。 どうして離婚しなかったの?と僕が尋ねたら、後で子供に恨まれそうだから、とても離婚する気にはなれなかったと言ってましたよ。 要するに、30年前と比べれば現在の離婚の多さは、日本人が我儘(わがまま)になり、身勝手に振る舞うようになったからですよ。

でも、デンマンさんだって我儘に自分勝手に振る舞っているように見えますわ。

でもねぇ、自分も相手も離婚することによって、家庭を崩壊させるような愚かな事はしませんよ。

そうでしょうか?

あのねぇ~、僕も小百合さんも恋愛至上主義ではありませんからね。。。

現実主義者だと言いたいのですか?

いや。。。しいて言えば中庸主義者でしょうね。

中庸主義ですか?

恋愛至上主義にも走らず、現実主義にも押し流されず、人生をポジティブな方向に向けてゆく。 つまり、小百合さんには現在、結婚生活に不満があるかもしれない。 でも、「今一つの世界」を持っている。

私は感性の領域でデンマンさんと40%結びついた「今一つの世界」を持っているのですか? 夫との20%の2倍ですわね?。。。で、感性の領域って具体的にはどういうものですの?

小百合さんが書いた次のメールを読んでくださいよ。

Subj:長い電話お疲れ様でした。

Date: 01/10/2007 1:52:14 AM
Pacific Daylight Saving Time
日本時間: 10月1日 午後5時52分 
From: fuji@adagio.ocn.ne.jp
To: barclay1720@aol.com

長い電話お疲れ様でした。
良くわかりました。

経理をしなくてはいけない。
それも13年分。
誰にたのもうか?
レシートもなくてと迷って朝方まで寝られない夜が毎晩だった時、
デンマンさんと話して、ここまで経理が進んだことをホットしてます。

いくら 請求がきても カナダに納めるのならいいやと思いはじめました。 
バーナビーで夏休みを過ごすことは
毎年私の支えの時間でした。

あの古い家は、夏休みで休むというより
ペンキ、芝のクローバむしり、
りんごの木の手入れ、
玄関まで高く長い階段のペンキはがしや、
しばらくみがかないガラス、
シミだらけのじゅうたん、
BASEMENTはランドリーのホコリとくもの巣、
行けば、掃除ばかりの家に大変でしたが
また戻りたいと思っていました。

実父の病気に、もう自分勝手にしていては駄目だ。
と今年決意しました。

こんな私でも欲しい物があります。
別荘です。
場所は長野です。
買ったら元家主の藤田桃子さん夫婦も招きたいです。
よかったらデンマンさんも。

日本だったら、親をおいていくことなく、ゆけます。

でも、29才からバーナビーで夏休みを過ごすことができた事は私の人生にとって良かったと思います。
ではまた。。。

小百合より

『カナダのバーナビー』より
(2008年11月18日)

つまり、29才から(13年間)バーナビーで夏休みを過ごすことができた、という事が私の「今一つの世界」だったのですか?

その通りですよ。

乱歩先生も次のように書いてましたからね。

今一つの世界

ここにもし、それらのものとは全く違った、また目新しい、「今一つの世界」があって、魔法使いの呪文か何かで、パッと、それがわれわれの目の前に現れたなら、そして、たとえば竜宮へ行った浦島太郎のように、その世界で生活することができたなら、われわれはまあどんなに楽しく生甲斐のあることでしょう。

でも、われわれは浦島太郎にはなれっこない。そんな「今一つの世界」なんてあるはずもなく、そこへ住むなんて思いもよらぬことだ。われわれはやっぱり、このきまりきった、面白くもない日常茶飯事を繰り返して行くほかに生き方はないのだ、とおっしゃるのですか。だって「今一つの世界」を求めるわれわれの欲望の烈しさは、どうして、そんなことをいってあきらめていられるものではないのですよ。

ご覧なさい。子供がどんなにお伽話をすくか、青年がどんなに冒険談をすくか、それから大人のお伽話、冒険談は、たとえばお茶屋の二階、歌い女、幇間(ほうかん)。それぞれ種類は違っても、われわれは一生涯、何か日常茶飯事以上のもの、「今一つの世界」を求めないではいられぬのです。お芝居にしろ、音楽にしろ、絵画にしろ、小説にしろ、それらはみな見方によっては、人間の「今一つの世界」への憧憬から生まれたものではありませんか。

暑中には避暑をする。それは何も暑さを避けるためばかりではないのです。われわれはここでも「今一つの世界」を求めている。飽き果てた家庭を離れて、別の世界へ行きたがっているのです。

もろもろの科学にしても、やっぱり人間のこの欲望の現われではないでしょうか。例えば天文学者は星の世界に憧れているのです。歴史家は遠い昔の別世界に思いを寄せているのです。動物や植物の学問はもちろん、生命のない鉱物にだって、薬品にだって、やっぱり「今一つの世界」を見出すことができないでしょうか。

古来のユートピア作者達が、それを夢見ていたことは申すまでもありません。さらにまた宗教ですらも、天上の楽園と言う「今一つの世界」に憧れているではありませんか。

ある型に属する小説家は、誰しも同じ思いでしょうが、わたしもまた、わたしの拙い文字によって、わたし自身の「今一つの世界」を創造することを、一生の願いとするものでございます。

江戸川乱歩(左)と三島由紀夫


(130 - 132ページ)
江戸川乱歩全集 第30巻 「わが夢と真実」
光文社文庫 2005年6月20日 初版1刷発行

『裸婦と今一つの世界』に掲載
(2011年4月20日)

要するに、あの映画の中で語られている発禁処分を受けた小説『お勢登場(おせいとうじょう)』は乱歩先生の「今一つの世界」だとデンマンさんは考えているのですか?

そうです。 乱歩先生の上の文章を読み返しながら僕はそう思いましたよ。

夫を「長持ち」に閉じ込めた女性と乱歩先生は「今一つの世界」を共有したとデンマンさんは考えているのですか?

例え、事件を起こした女性と実際に会ったとしても、その女性と共有した「今一つの世界」は多くても40%程度でしたよ。

。。。で、残りの60%は。。。?

創作の世界とファンタジーの世界ですよ。

乱歩先生と「今一つの世界」を共有したことで「静子」は、その後の人生をポジティブな方向に歩んでいったのでしょうか?

少なくとも乱歩先生はポジティブな方向に歩んでいったはずです。

その根拠は。。。?

乱歩先生は妻の隆子さんとは離婚してませんからね。 少なくとも世間並みな幸せな結婚生活を送って1965年(昭和40年)の夏、脳出血のため満70歳であの世に逝かれたのですよ。

そう言えば、あの映画には乱歩先生の奥様は登場しませんでしたわね。

あのねぇ、「今一つの世界」には「妻」は出てこないものですよ。

デンマンさんの「今一つの世界」にも奥様が出てこないように。。。?

そうですよ。。。うししししし。。。

【卑弥子の独り言】

ですってぇ~
なんだかミステリーの種明かしのようにして記事が終わるになりましたけれど。。。、
あなたは納得できましたか?

ところで、秋の紅葉も、もうすっかり終わりになってしまいましたけれど、あなたは紅葉(もみじ)狩りに行かれましたか?

ええっ。。。? 忙しくってぇ、それどころじゃなかったの?
じゃあねぇ、来年の秋のために良い所をご紹介しますわ。
榛名湖ですわよ。

榛名湖紅葉
 

榛名湖へ行ったら榛名山の中腹にある伊香保温泉に寄らないで帰ったら損をしますわよ。
あたくしも伊香保温泉は好きでござ~♪~ます。
ええっ。。。どうしてかってぇお聞きですか?

だってぇ、伊香保温泉は竹久夢二ですわよ。
竹久夢二の記念館もござ~♪~ますわ。

秋の伊香保温泉
 

そして帰りにはデンマンさんのように黒豚トンカツを食べるのもようござ~♪~ますわ。
あたくしもいただきました。

黒豚トンカツ

次回も、面白い話題が続きそうでござ~♪~ますう。
あなたも、どうか、また読みに戻ってきてくださいましね。
では。。。

ィ~ハァ~♪~!

メチャ面白い、

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こんにちは。ジューンです。

わたしは12月18日の次の記事を

大変興味深く読むことができました。

『仙台の女』

(2011年12月18日)

上の記事の中に『赤い殺意』という映画が出てきました。

何の気なしに他の YouTube も観てみました。

そうしたら次のクリップに出くわしました。

蒸気機関車が出てくるシーンです。

『赤い殺意』 (1964)

蒸気機関車のシーン

デンマンさんが大学生の頃には蒸気機関車が走っていたのでしょうか?

わたしがその事を尋ねたら、

「僕が大学生の頃には蒸気機関車は、もう東北線を走ってませんでしたよ」

ですってぇ~。。。

わたしは SL ファンなので面白いお話が聞けるかと思ったのですけれど、あてがはずれましたわ。

ところで、デンマンさんが小百合さんのことで

次のような記事を書いています。

時間があったら覗いてみてくださいね。

『白鳥はどこに?(2011年10月8日)』

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『バーナビーと小百合さん(2011年10月3日)』

『杜の都で食べる PART 1(2011年10月2日)』

『杜の都で食べる PART 2(2011年10月2日)』

では、今日も一日楽しく愉快に

ネットサーフィンしましょう。

じゃあね。


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